コラーゲンは、皮膚の弾力に欠かせない大切な成分。
その研究を30年以上続けてきてわかったコラーゲンのヒミツや、
最新の研究情報をお伝えします。
※本コンテンツは、皮膚コラーゲンに関する基礎知識や研究の歴史、 新知見をお伝えするためのコンテンツです。 特定商品の効果・効能等を示すものではありません。
そもそもコラーゲンとはタンパク質の1種。タンパク質は炭水化物・脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、人体を構成する重要な成分のひとつです。コラーゲンは皮膚だけでなく身体全体のあらゆる部分に存在しており、骨や血管などに多く含まれています。体内の全タンパク質の3分の1を占めていて、中でも皮膚(真皮層)では、水分を除く全成分の約70%がコラーゲン。皮膚の状態に大きく関わる成分なのです。
実は、皮膚コラーゲンが加齢とともに減っていく量は全体の約10%程度。それほど多いわけではないんです。
コラーゲンの量は、10%減と言われています。
それよりも注目したいのはコラーゲンの「質」。加齢とともにコラーゲンはどんどん劣化。歳をとるにつれてその劣化度合いも大きくなっていきます。つまり、コラーゲンの質と量を保つことが、皮膚の弾力に必要なのです。
コラーゲンがダメージを受けると、
皮膚の弾力が損なわれる一因となります。
コラーゲンの質と量を保つのに
重要なのが代謝。
コラーゲンが劣化する要因は
加齢変化による代謝機能の低下
環境因子(紫外線、活性酸素など)による変性
AGEの形成(糖化)
などが考えられます。
合成と分解が繰り返され、コラーゲンが生まれ変わっています。
髪や骨、血管など、人間の体内に存在する約30種類のコラーゲンのうち、皮膚にあるのは9種類。中でも4種のコラーゲンが皮膚の弾力にとって重要だと考えています。
図1.皮膚の弾力に重要な4種のコラーゲン
皮膚の土台をつくる
真皮のコラーゲン
Ⅰ型
“柱”として真皮の構造を維持する太くて頑丈なコラーゲン。
Ⅲ型
真皮にしなやかさを与える細いコラーゲン。
皮膚の健康や構造を守る
基底膜のコラーゲン
Ⅳ型
基底膜の骨格をつくるコラーゲン。
Ⅶ型
真皮と基底膜をつなぎ止めるコラーゲン。
“SPARC” (スパーク)が「司令塔」として細胞に働きかけ、
4種のコラーゲンの産生を促す事実を発見。
SPARCとコラーゲンの関係についての研究を進める中で、SPARCが4種のコラーゲン産生に同時に働きかけることを世界で初めて*明らかにしました。
*世界最大級の抄録・引用文献データベースScopusを用いて検索。「SPARCとⅠ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅶ型コラーゲン産生」について該当なし(2022年1月7日現在、花王調べ)
SPARCとは?
タンパク質の一種で、正式名称はマトリセルラータンパク群(Secreted Protein Acidic and Rich in Cysteine)。細胞の増殖や分化、移動などを促進させる働きがあります。
SPARCがコラーゲンを支配する!
SPARCは、皮膚の土台をつくる
真皮のコラーゲン(Ⅰ型・Ⅲ型コラーゲン)を
生み出す力を高めることが分かりました。
培養した真皮線維芽細胞をSPARCで刺激したところ、Ⅰ型コラーゲンの合成が増加するだけでなく(図3)、更にはⅢ型コラーゲンの遺伝子発現も促進することが明らかになりました。(図4)
コラーゲンの産生を促進し、
基底膜の形成を促進します。
3次元皮膚モデルにSPARCを添加したところ、Ⅳ型とⅦ型コラーゲンの基底膜への蓄積が増加し、基底膜の形成を促進することも明らかになりました。(図5)
SPARCを添加することにより、基底膜のコラーゲンが増加しています。
本格的なコラーゲン研究が始まって30年以上。これからも、根幹から美しくなりたいと願うすべての人のために、私たちの研究は続きます。
日本香粧品学会優秀論文賞受賞 についてはこちら
光老化した皮膚ではSPARC産生細胞が減少していることがわかりました。
同一人物の、長期間紫外線にさらされることにより老化が進んだ部位と、紫外線から保護された部位について、SPARCの産生細胞を比較しました。
温度が高まり、 コラーゲン代謝が活性化
温熱刺激によって、コラーゲン合成が促進されることが確認されました。
花王株式会社
生物科学研究所
中村 智美
私は花王に入社後、一貫して皮膚の弾力を生み出す真皮線維芽細胞の研究を中心に進めてきました。その中で“SPARC”というとても謎めいた生体分子の研究に着手することになりました。まずは研究をはじめるにあたり、SPARCについて調べていくと、ひょっとしたら皮膚のコラーゲンの“司令塔”の役割をしているのではないかという仮説に至りました。そこで、皮膚の培養細胞や人工的に作成した皮膚モデルを使った研究を進めた結果、SPARCが真皮のI型やIII型コラーゲンだけでなく、表皮と真皮を分け隔てている“基底膜”を構成するIV型やVII型コラーゲンも制御しており、まさにSPARCがコラーゲンの司令塔の役割をしていることを突き止めました。自分の仮説が正しかった感激の瞬間でした。
こういった研究結果によって、一人でも多くのお客さまに喜んでいただけることを心から願っています。
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